1.あした天気になれ
作詞:中島みゆき
作曲:中島みゆき
なんにつけ一応は
絶望的観測をするのが 癖です
わかりもしない望みで
明日をのぞいてみたりしないのが癖です
夢もあります 欲もあります
かなうはずなんて ないと思います
夢に破れて あてにはずれて
泣いてばかりじゃ いやになります
雨が好きです 雨が好きです
あした天気になれ
宝くじを買うときは
当るはずなどないと言いながら 買います
そのくせ 誰かが買って
一等賞をもらった店で買うんです
はずれた時は あたりまえだと
きかれる前から 笑ってみせます
あたりまえだと こんなものさと
思っていなけりゃ 泣けてきます
愛が好きです 愛が好きです
あした孤独になれ
夢もあります 欲もあります
かなうはずなんて ないと思います
夢に破れて あてにはずれて
泣いてばかりじゃ いやになります
雨が好きです 雨が好きです あした天気に
雨が好きです 雨が好きです
あした天気になれ
2.あなたが海を見ているうちに
作詞:中島みゆき
作曲:中島みゆき
あなたが海を見ているうちに
私 少しずつ遠くへゆくわ
風が冷たくならないうちに
私 もうすぐ そこは国道
風は夕風 心を抜けて
背中を抜けて あなたへ帰る
忘れないでね 忘れたいんだ
言えない言葉 背中から背中へ
だれか 車で待ってるみたいな
少し気取った 甘い足どりは
せめて最後の 私のお芝居
どこまで行けば バスが来るのかしら
遠いうしろで 車の音がすると
あなたが呼んで くれたのかと思って
わざと少しだけ急ぎ足になる
追い越してゆく ふたりづれ フェアレディ
こんな海辺に するんじゃなかった
いいかげんな 街ならよかった
持ったサンダル わざと落として
もう一度だけ ふり返りたいけれど
きっと あなたは もういないから
ふり返れない 国道 海づたい
3.あわせ鏡
作詞:中島みゆき
作曲:中島みゆき
グラスの中に自分の背中がふいに見える夜は
あわせ鏡を両手で砕く 夢が血を流す
なりたい夢となれる夢とが本当はちがうことくらい
わかってるから鏡みるとき芝居してるのよ
つくり笑いとつくり言葉であたいドレスを飾るのよ
袖のほつれたシャツは嫌なの あたい似合うから
鏡よ鏡 あたいは誰になれる
鏡よ鏡 壊れてしまう前に
つくり笑いとつくり言葉であたいドレスを飾るのよ
袖のほつれた シャツは嫌なの あたい似合うから
放っておいてと口に出すのは本当はこわいのよ
でもそう言えば誰か来るのをあたい知ってるの
明るい顔ができるまでには クスリたくさん必要よ
大丈夫よって言えるまでには お酒 必要よ
※鏡よ鏡 あたいは誰になれる
鏡よ鏡 壊れてしまう前に
明るい顔ができるまでには クスリたくさん必要よ
大丈夫よって言えるまでには お酒 必要よ※
(※くり返し)
4.ひとり上手
作詞:中島みゆき
作曲:中島みゆき
私の帰る家は
あなたの声のする街角
冬の雨に打たれて
あなたの足音をさがすのよ
あなたの帰る家は
私を忘れたい街角
肩を抱いているのは
私と似ていない長い髪
心が街角で泣いている
ひとりはキライだとすねる
ひとり上手と呼ばないで
心だけ連れてゆかないで
私を置いてゆかないで
ひとり好きなわけじゃないのよ
雨のようにすなおに
あの人と私は流れて
雨のように愛して
サヨナラの海へ流れついた
手紙なんてよしてねな
んどもくり返し泣くから
電話だけで捨ててね
僕もひとりだよとだましてね
心が街角で泣いている
ひとりはキライだとすねる
ひとり上手と呼ばないで
心だけ連れてゆかないで
私を置いてゆかないで
ひとりが好きなわけじゃないのよ
ひとり上手と呼ばないで
心だけ連れてゆかないで
私を置いてゆかないで
ひとりが好きなわけじゃないのよ
5.雪
作詞:中島みゆき
作曲:中島みゆき
雪 気がつけばいつしか
なぜ こんな夜に降るの
いま あの人の命が
永い別れ 私に告げました
あの人が旅立つ前に
私が投げつけたわがままは
いつかつぐなうはずでした
抱いたまま 消えてしまうなんて
雪 気がつけばいつしか
なぜ こんな夜に降るの
いま あの人の命が
永い別れ 私に告げました
手をさしのべればいつも
そこにいてくれた人が
手をさしのべても消える
まるで 淡すぎる 雪のようです
あの人が教えるとおり
歩いてくはずだった私は
雪で足跡が見えない
立ちすくむ あなたを呼びながら
手をさしのべればいつも
そこにいてくれた人が
手をさしのべても消える
まるで 淡すぎる 雪のようです
あの人が教えるとおり
歩いてくはずだった私は
雪で足跡が見えない
立ちすくむ あなたを呼びながら
雪 気がつけばいつしか
なぜ こんな夜に降るの
いま あの人の命が
永い別れ 私に告げました
6.バス通り
作詞:中島みゆき
作曲:中島みゆき
昔の女を だれかと噂するのなら
辺りの景色に気をつけてからするものよ
まさかすぐ後ろの ウィンドウのかげで
いま言われている 私が
涙を流して すわっていることなんて
あなたは 夢にも思っていないみたいね
バスは雨で遅れてる
店は歌が 止まってる
ふっと聞こえる 口ぐせも
変わらないみたいね それがつらいわ
時計をさがして あなたが店をのぞくまで
私は無理して 笑顔になろうとしてる
古びた時計は 今でも 昔のように
あなた待ちわびて 十時の歌を歌いだす
小指をすべらせて ウィンドウをたたく
ねえ 一年半遅刻よ
あの日はふたりの時計が違ってたのよね
あなたはほんとは待っていてくれたのよね
バスは雨で遅れてる
店は歌が流れだす
雨を片手でよけながら
二人ひとつの上着 かけだしてゆく
ため息みたいな 時計の歌を 聴きながら
私は ガラスの指輪をしずかに落とす
7.友情
作詞:中島みゆき
作曲:中島みゆき
悲しみばかり見えるから
この目をつぶすナイフがほしい
そしたら闇の中から
明日が見えるだろうか
限り知れない痛みの中で
友情だけが 見えるだろうか
企みばかり 響くから
この耳ふさぐ海へ帰るよ
言葉を忘れた魚たち
笑えよ 私の言葉を
終わり知れない寒さの中で
友情さえも 失っている
※この世見据えて笑うほど
冷たい悟りもまだ持てず
この世望んで 走るほど
心の荷物は軽くない
救われない魂は
傷ついた自分のことじゃなく
救われない魂は
傷つけ返そうとしている自分だ※
一番欲しいものは何ンですか
命賭けても守るものは何ンですか
時代という名の諦めが
心という名の橋を呑み込んでゆくよ
道の彼方にみかけるものは
すべて獲物か 泥棒ですか
(※くり返し)
自由に歩いてゆくのなら ひとりがいい
そのくせ今夜も ひとの戸口で眠る
頼れるものは どこにある
頼られるのが嫌いな 獣たち
背中にかくした ナイフの意味を
問わないことが友情だろうか
(※くり返し)
8.成人世代
作詞:中島みゆき
作曲:中島みゆき
悲しい気持ちを 抱きしめて
悲しみ知らないふりをする
笑っているのは 泣き顔を
思い出さずに歩くため
寂しい気持を 抱きしめて
寂しさ知らないふりをする
踊っているのは憐れみを
鎖と共に捨てるため
テレビの歌はいかにもそこに
いかにもありそうな お伽ばなしをうたう
夢やぶれ いずこへ還る
夢やぶれ いずこへ還る
隣りを歩いてゆく奴は
だれもが幸せ のぼり坂
ころんでいるのは自分だけ
だれもが心で そう思う
大人の隣りを追い越せば
しらけた世代と声がする
子供の隣りを追い越せば
ずるい世代と声がする
電車のポスターは いつでも夢が
手元に届きそうな ことばだけ選ぶ
夢やぶれ いずこへ還る
夢やぶれ いずこへ還る
夢やぶれ いずこへ還る
9.夜曲
作詞:中島みゆき
作曲:中島みゆき
街に流れる歌を聴いたら
気づいて 私の声に気づいて
夜にさざめく 灯りの中で
遙かにみつめつづける瞳に気づいて
あなたにあてて 私はいつも
歌っているのよ いつまでも
悲しい歌も 愛しい歌も
みんなあなたのことを歌っているのよ
街に流れる歌を聴いたら
どこかで少しだけ私を思い出して
月の光が 肩に冷たい夜には
祈りながら歌うのよ
深夜ラジオのかすかな歌が
あなたの肩を包みこんでくれるように
あなたは今も 私の夢を
見てくれることがあるかしら
悲しい歌も愛しい歌も
みんなあなたのことを歌っているのよ
月の光が 肩に冷たい夜には
せめてあなたのそばへ流れたい
街に流れる歌を聴いたら
気づいて 私の声に気づいて
心かくした灯りの中で
死ぬまで 贈りつづける歌を受けとめて
街に流れる歌を聴いたら
どこかで少しだけ私を思い出して
思い出して
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